重賞レース

第71回エンプレス杯(キヨフジ記念)(JpnII)

2025年5月14日

レースガイド RACE GUIDE

国内の牝馬ダートグレード競走でもっとも歴史が長く、副称に川崎競馬出身でJRAのオークスを制した名牝キヨフジの名を冠している。
2024年から施行時期が2月・3月から5月へ、負担重量もグレード別定から定量に変更となり、GRANDAME-JAPAN古馬春シーズン最終戦に位置づけられた。
2022年の勝ち馬:ショウナンナデシコはこのレース優勝から、かしわ記念を含むダートグレードを4連勝を飾っている。
近10年1番人気馬が安定して活躍しており、比較的順当に収まりやすい。

コースガイド

2コーナーの出口から発走し、コーナーを6回まわります。2周目の向正面でペースが上がったときに、離されずについていくことができるか。騎手のペース判断も重要になります。

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1番人気が連軸。固く攻めるか、一捻りを加えるか

※データは2月下旬~3月上旬に行われていた過去9年分(2015~2023年)と5月に移行された2024年を対象にした。

単勝1番人気を信頼

 単勝1番人気は7勝2着2回3着1回。3着となった2015年のビスカリアは単勝3.3倍で、オッズが1~2倍台であれば連対を外していない。

 2番人気、3番人気もそれぞれ複勝率が50%で、2・3番人気馬が共に馬券圏外となったのは2017年、2018年(共に4・6番人気が馬券絡み)の2回のみ。

 1~3番人気で決着したのは2回のみで、6番人気以下が馬券に絡んだのは6回。順当か一捻りか選択したい。

【単勝人気別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1番人気 7 2 1 0 90.0 % 100.0 %
2番人気 2 2 1 5 40.0 % 50.0 %
3番人気 0 1 4 5 10.0 % 50.0 %
4番人気 1 1 1 7 20.0 % 30.0 %
5番人気 0 1 0 9 10.0 % 10.0 %
6番人気以下 0 3 3 62 4.4 % 8.8 %

JRA勢が断然、JRAから転籍した地方所属馬に注意

 JRA所属馬が10勝2着5回3着9回と断然。

 一方、地方所属馬は近8年中、2018,2023年を除く6回で大井所属馬が2・4・6・7・8・8番人気で馬券に絡んできており注意が必要。

 但し、2017年リンダリンダ(北海道競馬から転入)以外は全て元JRA所属馬である。

【所属別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
大井 0 5 1 15 23.8 % 28.6 %
船橋 0 0 0 7 0.0 % 0.0 %
浦和 0 0 0 8 0.0 % 0.0 %
川崎 0 0 0 16 0.0 % 0.0 %
他地区 0 0 0 17 0.0 % 0.0 %
JRA 10 5 9 25 30.6 % 49.0 %

4~6歳が中心

 勝ち馬は4歳が5勝・5歳が3勝、6歳が2勝。2.3着も4~6歳でそれぞれ8割以上を占める(JRA所属馬に限ると4歳は[5-1-3-10]、5歳は[3-3-3-8]、6歳は[2-2-1-3])。

 7歳以上ではJRA所属の7歳馬が1頭(3着)、地方所属となってからのサルサディオーネが7・8歳時にそれぞれ2着のみである。

【馬齢別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
4歳 5 2 3 24 20.6 % 29.4 %
5歳 3 3 4 25 17.1 % 28.6 %
6歳 2 3 2 22 17.2 % 24.1 %
7歳 0 1 1 9 9.1 % 18.2 %
8歳以上 0 1 0 8 11.1 % 11.1 %

5枠が4勝、複勝率なら4枠が50%

 5枠が4勝2着1回、4枠は1勝2着4回3着2回で、2018年・2023年を除く8年でいずれかの枠が馬券に絡んでいる。

 6~8枠は合わせて3勝2着4回3着4回だが、2017年のリンダリンダ(4番人気2着)を除く10頭は1~3番人気に推されていた。人気を確認したい。

 尚、3枠は3着1回のみと冴えない。

【枠順別成績】(過去10回)

  1着 2着 3着 着外 連対率 複勝率
1枠 1 1 2 6 20.0 % 40.0 %
2枠 1 0 1 8 10.0 % 20.0 %
3枠 0 0 1 9 0.0 % 10.0 %
4枠 1 4 2 7 35.7 % 50.0 %
5枠 4 1 0 11 31.3 % 31.3 %
6枠 1 1 3 13 11.1 % 27.8 %
7枠 1 2 1 16 15.0 % 20.0 %
8枠 1 1 0 18 10.0 % 10.0 %

これまでは秋から続く牝馬ダートグレード出走馬が中心だったが

 JRA所属馬は川崎初出走となる馬が毎年馬券に絡んでおり、コース経験は不問。

 TCK女王盃4着以内馬が[5-1-4-5]、2015・2016年を除く7回で馬券に絡んでいたが、昨年から舞台を園田競馬場に移して兵庫女王盃となり1・2着馬が4・6着。傾向が変わったかもしれない。

 クイーン賞(2024年は前年11月と2月の2回施行)出走馬は、[4-2-1-10]、10着からの巻き返しもあり着順はさほど気にしなくて良い。

 JBCレディスクラシック出走馬は、[5-4-4-11]で、2017年・2020年を除く8回で馬券に絡んでいる(2020年はJBCクラシックで8着だったアンデスクイーンが1着)。

 レディスプレリュード出走馬は、[5-1-3-8]で、2017年を除く9回で馬券に絡んでいる。

 2017年以降で前述の4レースに出走していなかったのは2020年3着パッシングスルー(ダート初出走)と、2024年1着オーサムリザルト(デビュー5連勝で参戦)の2頭のみ。

 地方所属馬で馬券に絡んだ6頭は、TCK女王盃・兵庫女王盃またはクイーン賞に出走し、5着以内となっていたか、または5番人気以内に支持されていた。

 騎手では川田将雅騎手が4年連続で馬券に絡んでいる。

ライター:友好春

ローリエフレイバー

スプリングヒロインC(2025年4月7日)

テンカジョウ

兵庫女王盃(2025年4月3日)

オーサムリザルト

クイーン賞(2024年2月11日)

金子正彦

金子正彦

1962年11月12日 神奈川県出身。
1979年に川崎競馬で騎手デビューし16,482戦1,227勝を挙げて2017年3月に引退。重賞勝ちは東京ダービー(サイレントスタメン)、浦和記念(モエレトレジャー)、桜花賞(ミライ)、ハイセイコー記念(ソルテ)など11勝。
引退後は競馬ブック南関東版でコラム、週刊競馬ブックにて重賞回顧等を執筆。

中川明美

中川明美

競馬ブック南関東担当記者。
新聞紙面にてコラム『南関こんしぇるじゅ』、週刊競馬ブックで『NANKAN通信』、競馬ブックWEBにて『南関あらうんど』等を執筆。週刊競馬ブック南関東S重賞本誌担当。
グリーンチャンネルにて『アタック地方競馬』『ダート競馬JAPAN』に出演中。

第71回エンプレス杯(キヨフジ記念)(JpnII)

注目馬情報

オーサムリザルト(牝5歳 JRA・池江泰寿厩舎)

写真:真鍋元

 デビュー戦からセンスを感じさせる走りでラストの弾ける脚も素晴らしかった。しかしながら骨折が判明し約半年の休養を挟んだが、復帰戦から快進撃は止まらず無敗で昨年のエンプレス杯で地方初参戦。初物尽くしのなか堂々とした走りでついに戴冠した。武豊騎手がゲートの課題をうまく捌き次なる門別のブリーダーズゴールドCを勝ったあとは米・BCディスタフに向かったが現地の歩様チェックで出走取消に。帰国から復帰したのが前走のクイーン賞。鬱憤を晴らすかのような貫禄の走りで単勝1.2倍の断然人気に応えて重賞3勝目を挙げた。無傷8連勝でエンプレス杯連覇を狙っている。

「急ピッチだった前回より、今回の方がしっかりと乗り込めています。7日には強い負荷をかけました。タフな馬場のなか動きも良かったですよ。定量戦ですから連覇ができれば」と兼武助手。

アンモシエラ(牝4歳 JRA・松永幹夫厩舎)

写真:真鍋元

 昨春は新体系となったダート三冠に前哨戦から参戦。第一冠の羽田盃では2着、紅一点だった東京ダービーでも3着と持ち前のスピードをいかんなく発揮した。チークピーシーズを着用しているように他馬を気にする面もあり、不利のあるレースもあったが、ひとつひとつ課題を克服して秋にはJBCレディスC制覇。常にチャレンジを続け、古馬を相手に軽快に逃げ切ってスピードに磨きをかけた。前走のフェブラリーSでは芝スタートのマイル戦とあって忙しい競馬になったが、今回は川崎2100mで距離延長はプラス材料。初コースの小回りもスピードでカバーするだろう。

「1600mは忙しかったし、もともと小回りが上手な馬ですからね。この条件は良いでしょう。帰厩後も順調に来てますから牝馬限定戦で自分の競馬に持ち込めればと思っています」と松永幹夫調教師。

テンカジョウ(牝4歳 JRA・岡田稲男厩舎)

写真:若松亮太

 前走は兵庫女王盃を優勝。小回りの園田コースで直線で鋭く抜け出した。昨年秋のマリーンCの5馬身圧勝に続いて牝馬ダートグレード競走を制した。以前ほどの出遅れはなくなり、やや後手を回るかたちになった前走でも前を見ながら好位で折り合った。勝負どころから射程圏に入れると前を封じて大物感たっぷりな勝ちっぷりだった。前々走のクイーン賞ではオーサムリザルト、アンモシエラに続く3着だったが着差は僅差コンマ3秒と逆転も可能だ。

「前走は少し出負けをしたけど、すぐにリカバーしていい位置で運べたのが勝因です。着差以上に強かったですね。その後はここを目標に調整して順調にきています。使ってきた強みを生かせれば」と大林助手。

ネバーモア(牝4歳 JRA・宮本博厩舎)

写真:仲真吾

 デビュー戦こそ芝で7着も、2戦目からはダートに転向してもっか13戦4勝。前走の梅田S(3勝クラス)を勝ってオープン入りしたばかりだ。梅田Sでは余裕の手応えで外々を回り、早めにポジションを上げるとあっさり抜け出した。左回りも中京で経験しており、どこからでもレースができるのは何よりの強み。初めての地方の馬場でもうまく立ち回れそうだ。

「中間の動きは良く、良い状態をキープできています。小回りコースにも対応できるタイプでしょう。強い馬が出てきますが、どれだけ食い下がれるか楽しみを持って臨みます」と宮本博調教師。

ローリエフレイバー(牝4歳 大井・月岡健二厩舎)

写真:真鍋元

 昨年はNARグランプリ3歳最優秀牝馬を受賞。5月の遅生まれとあって心身の成長を促しながらのローテーションだったが、2戦目から4連勝で地方交流の東京2歳優駿牝馬を制し2歳女王となった。関東オークスが不本意な内容だったように精神面も成長中でまだ課題もうかがえるが前走からブリンカーを着用。揉まれずスムーズなかたちでレースを運べれば本領発揮。長い距離にも対応し3歳秋には今回と同距離のロジータ記念を制している。エンプレス杯トライアルの前走スプリングヒロインCでは後続を5馬身引き離した。

「この馬の場合、自分の競馬ができるかどうかなんです。3番手で誰にも邪魔されることなくレースができた前走の競馬が理想ですね。それができれば強い。関東オークスは自分の競馬ができなかった。距離は長いほどいいし相手が上がろうと関係ありません」と野畑凌騎手。

レースレポートは、2025年5月16日18時頃の公開を予定しております。

成績・払戻金はこちら

回数 施行年 馬名 性・年齢 騎手
70 令和6年 オーサムリザルト 牝4 武 豊
69 令和5年 グランブリッジ 牝4 川田 将雅
68 令和4年 ショウナンナデシコ 牝5 吉田 隼人
67 令和3年 マルシュロレーヌ 牝5 川田 将雅
66 令和2年 アンデスクイーン 牝6 C.ルメール
65 令和元年 プリンシアコメータ 牝6 岩田 康誠
64 平成30年 アンジュデジール 牝4 横山 典弘
63 平成29年 ワンミリオンス 牝4 戸崎 圭太
62 平成28年 アムールブリエ 牝5 武 豊
61 平成27年 アムールブリエ 牝4 濱中 俊
60 平成26年 ワイルドフラッパー 牝5 C.デムーロ
59 平成25年 ミラクルレジェンド 牝6 岩田 康誠
57 平成23年 ラヴェリータ 牝5 武 豊
56 平成22年 ブラボーデイジー 牝5 武 豊
55 平成21年 ニシノナースコール 牝7 吉田 豊
54 平成20年 サヨウナラ 牝7 岩田 康誠
53 平成19年 トーセンジョウオー 牝6 内田 博幸
52 平成18年 ローレルアンジュ 牝7 的場 文男
51 平成17年 プルザトリガー 牝6 内田 博幸
50 平成16年 レマーズガール 牝4 武 豊
49 平成15年 ジーナフォンテン 牝5 内田 博幸
48 平成13年 オンワードセイント 牝7 勝浦 正樹
47 平成12年 ファストフレンド 牝5 蛯名 正義
46 平成11年 ファストフレンド 牝6 蛯名 正義
45 平成10年 シルクフェニックス 牝6 福永 祐一
44 平成9年 シルクフェニックス 牝5 福永 祐一
43 平成8年 ホクトベガ 牝7 横山 典弘
42 平成7年 ホクトベガ 牝6 横山 典弘
41 平成6年 ケーエフネプチュン 牝4 矢内 博
40 平成5年 パワーシヤレード 牝4 石崎 隆之
39 平成4年 ヒカリカツオーヒ 牝6 佐々木 竹見
38 平成3年 ヒカリカツオーヒ 牝5 石崎 隆之
37 平成2年 スピリツトエビス 牝6 的場 文男
36 平成元年 セリメーヌ 牝5 森下 博
35 昭和63年 ダイタクジーニアス 牝6 佐々木 竹見
34 昭和62年 ムサシタイコー 牝6 秋田 実
33 昭和61年 タケノビクトリー 牝5 山崎 尋美
32 昭和60年 ガールライヒ 牝6 高橋 三郎
31 昭和59年 ゴールドダンサー 牝5 佐々木 竹見
30 昭和58年 ミスハイヤー 牝5 柿本 政男
29 昭和57年 デユールスワロー 牝5 高橋 三郎
28 昭和56年 スターライヒ 牝5 秋田 実
27 昭和55年 ダークハリー 牝5 渡辺 市郎
26 昭和54年 シヤドウ 牝4 橘 真樹
25 昭和53年 カネハツユキ 牝6 山崎 尋美
24 昭和52年 ガバナスイセイ 牝4 高橋 三郎
23 昭和51年 フジノカオリ 牝6 桑島 孝春
22 昭和50年 シヤンタン 牝5 森下 博
21 昭和49年 ミサトクイン 牝4 赤間 清松
20 昭和48年 イケノカエデ 牝7 高橋 三郎
19 昭和47年 ゴールデンスネツプ 牝4 長谷川 茂
18 昭和46年 ヒダカスズラン 牝6 高橋 三郎
17 昭和45年 エビフジ 牝5 高橋 三郎
16 昭和44年 ローレライ 牝6 木村 和男
15 昭和43年 ハヤシゲル 牝4 長谷川 茂
14 昭和42年 ヒガシジヨオー 牝5 佐々木 竹見
13 昭和41年 フミヒロ 牝5 竹島 春三
12 昭和40年 キヨクトー 牝4 須田 茂
11 昭和39年 モリホープ 牝5 佐々木 竹見
10 昭和39年 サバンナ 牝6 松浦 備
9 昭和38年 ヒガシミノル 牝5 佐々木 竹見
8 昭和37年 ムーン 牝6 佐々木 竹見
7 昭和36年 ステツプホース 牝5 松浦 備
6 昭和35年 サンセイカツプ 牝4 武智 一夫
5 昭和34年 コンリユウ 牝5 須田 栄
4 昭和33年 ヴアイオラ 牝5 荒山 徳一
3 昭和32年 イチヨシノ 牝7 長沢 保作
2 昭和31年 ミスアサヒロ 牝7 安藤 徳男
1 昭和30年 ミスアサヒロ 牝6 安藤 徳男