コラム
佐々木竹見・王者の眼差し

佐々木竹見(ささき たけみ)
元川崎競馬所属騎手。“鉄人”の愛称で知られる国内最多勝記録・7,153勝をあげた日本を代表する名手。
現在は地方競馬全国協会の参与として騎手候補生である後進の指導を行うほか、競馬のPRのために各地のイベントなどにも出演している。
令和7年度第9回開催 ロジータ記念 他
11月17~21日の開催はダブル重賞。18日に行われた2歳牝馬のローレル賞は、1番人気のアンジュルナが直線突き放して圧勝。鞍上の野畑凌騎手は、この開催11勝をマークし開催リーディング。南関東リーディングでも目下3位の活躍です。
19日に行われた3歳牝馬のロジータ記念は、大井のドナギニーがゴール前の接戦を制しました。鞍上は、今年全国リーディングの笹川翼騎手でした。
最終日の最終レースに行われた、2025川崎ジョッキーズカップ第5戦は、調教師試験に合格した今野忠成騎手(地方通算2751勝)、山崎誠士騎手(地方通算2022勝)のラスト騎乗となりました。1番人気に支持された山崎騎手は5着、今野騎手はスタートの瞬間、馬が立ち上がって残念ながら落馬、競走中止でした。勝ったのは、中団追走からゴール前で抜け出した櫻井光輔騎手でした。
今回はこの3レースについて、佐々木竹見さんにうかがいました。(聞き手・構成/斎藤修)
2025年11月18日(火)ローレル賞
優勝馬アンジュルナ
野畑騎手のアンジュルナがダッシュよく飛び出しましたが、内枠で好スタートを切ったトリップス(北海道・小野楓馬騎手)がハナへ、本橋騎手のトウキョーアンナも好スタートから控えて内の3番手つけました。
アンジュルナの野畑騎手は、トリップスをぴたりとマークして、それさえ交わせばという競馬だったと思います。4コーナーまで楽な手応えで、直線では突き放しました。これから距離が伸びてもよさそうです。
トリップスは4馬身差をつけられましたが、うしろから来る馬もいませんでしたから、この馬も能力は高そうです。
行ったまま、1、2着が入れ替わっただけの決着でしたから、この時点では1、2着馬の能力が抜けていました。
2戦2勝で注目されたナーサリーテイルは、向正面から動いて3コーナーではアンジュルナの直後につけましたが、直線では一杯になって4着でした。今回は4カ月ぶりの休み明けで、まだ馬も重そうだったので、次はもっとよくなるかもしれません。
2025年11月19日(水)ロジータ記念
優勝馬ドナギニー
前2頭(エスカティア、チャチャハツゴウ)が後続を離しての逃げで縦長の展開になりましたが、ペースはそれほど速くありません。(1周目の)スタンド前でも動いていく馬はいませんでした。勝ったドナギニーは3番手の内で、スローペースでも折り合いがついていました。
先頭のエスカティアは楽なペースで逃げていましたから、4コーナーでも手応えが楽なまま、そこから追い出されて直線でも先頭。この馬の勝ちパターンでしたが、ゴール前でドナギニーが差し切りました。
笹川騎手はドナギニーには初めての騎乗でしたが、前が楽に逃げていても慌てることがなく、自信があったのでしょう。今年は全国リーディングなので、またそれも自信につながっていたのかもしれません。
2着エスカティアの矢野騎手が全国リーディング2位で、リーディングの2人による決着でした。
2025年11月21日(金)2025川崎ジョッキーズカップ第5戦
優勝馬ヤサカソレイユ
今野騎手の落馬は残念でした、ゲートが開いたときに馬が飛び上がるように立ち上がってしまったので、これは仕方ありません。
このレースはテンが速くなりました。スタートが速かった池谷騎手(ガールズドリーム)が飛ばして逃げて、神尾騎手(キーファイン)がからんでいって、3番手の藤江騎手(ゴールドフレイバー)も追いかけていったので、1コーナーを回るあたりで早くも縦長になりました。2コーナーでは落馬した空馬が一気に前を交わしていったことで池谷騎手のガールズドリームがかかり気味になって、さらにペースが上がりました。
勝った櫻井騎手のヤサカソレイユは、中団よりうしろを追走していました。ラチ沿いのいいところを通って徐々に位置取りを上げてきて、直線では先行した2頭の外に持ち出して抜け出しました。櫻井騎手のコースどりもよかったですが、前が飛ばした展開にも恵まれました。
2着に入った佐野騎手(ベニノパール)は10番人気。さらに後方からの追走で、直線はラチ沿いをよく伸びてきました。
レースの上りが41秒8もかかって、神尾騎手のキーファインは直線一杯になっていましたが、なんとか3着に粘りました。
